安蒜豊三 きょうもよろしく

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「よろしく劇場」2本立て

「よろしく劇場」

「漁港の肉子ちゃん」6月11日 公開
原作は直木賞作家・西加奈子『漁港の肉子ちゃん』。
明石家さんま初企画・プロデュースアニメ。

漁港の船に住む母娘のふたり家族、肉子ちゃんとキクコ。
訳アリ母娘が、精一杯生きる姿を描いている。

母・肉子ちゃんは大竹しのぶ,娘・キクコはCocomiが声を演じている。
豪華な声優や音楽、制作陣。
なるべく先入観無く見みたら、なんと見事な真正面からの良質な作品。
ひたすら、いいものを作りましたというド直球。

小説は読んでいないので、比較はできないが、アニメにしたのは大正解。
とにかくバカいい人の肉子ちゃんを実在の女優が演じてリアリティがでるのか?
ほぼトトロなキャラにして、振り切った大竹しのぶの演技でないといけなかったのだろう。
キクコ役のCocomiも、ドンピシャリ。

スタジオジブリ作品へのオマージュにあふれ、
漁港、周辺の風景や生き物の描写の美しいこと、このうえ無し。

人間の善性を思い起こさせてくれた。
押しつけがまさのカケラもなく、優しく穏やかな心になれる。





「ベル・エポックでもう一度」
伏見ミリオン座  6/12(土)~    伊勢進富座本館  7/31(土)~8/12(木)  

2019年にフランスでヒットしたコメディ。
妻にも見放されてしまうほど、アナログ頑固オヤジのヴィクトルが、
映画製作の技術を応用して客の戻りたい過去を広大なセットに再現する、
体験型のエンターテイメントサービスを利用する。

ヴィクトルがリクエストした「運命の女性と出会った1974年のリヨン」に戻り、
用意された70年代ファッションに着替え、プロの女優が演じる〈運命の女性〉と出会う。

70年代のおしゃれなカフェや街並み、キュートなレトロファッション、
フレンチポップなど、フレンチカルチャーが満載。

大人向けで、下ネタちと多し。
 

「よろしく劇場」 幸せの答え合わせ

© Immersiverse Limited 2018


よろしく劇場
「 幸せの答え合わせ」  6月4日公開  


イギリス南部の海辺の町シーフォード。
美しい崖や入り江が広がる風光明媚な場所。
この町で暮らす夫婦グレースとエドワードは、もうすぐ結婚29周年。
一人息子のジェイミーが久しぶりに帰郷した週末、エドワードは突然に離婚を切り出した。

世の中の離婚って、たぶん多くが夫に原因がある、またはあるように思われているが、
これは、妻の長年の鈍感さや傲慢に起因する離婚劇。


妻グレースは詩に親しむだけに、ボキャブラリーが豊富、強引に論理を飛躍させ、夫をやりこめてしまう。
おとなしくマジメで口下手な夫は、そんな妻との生活に疲れ果て、限界だとあきらめている。
そんなころ、教え子の母親と恋に落ち、その彼女と暮らそうと家を出た。
そして、板挟みになる一人息子。

地味な映画だが、目が離せない。
そして、イングランドの海岸、崖の風景が美しい。
ひなびているけど、こんな街で暮らしてみたい。
ただし、夫婦仲がよければだが・・・・
 (我が家は大丈夫  今のところ  たぶん)

この夫妻にプレゼントしたいのが、ベストセラー「妻のトリセツ」「夫のトリセツ」
夫は妻の心を忖度し、妻の言葉や行動の背後にあるものに気付いて、先回りしないといけないらしい。
この妻グレースのような自己中丸出しのおばはんは確実に存在する。
そのような女性は声が大きいため、口下手な夫の小さなつぶやきはかき消される。
そんなストレスを置いていくのが酒場だが、コロナ禍の今はいけない。


よろしく劇場  明日の食卓

©2021「明日の食卓」製作委員会


5月28日 よろしく劇場  
   明日の食卓  5月28日各シネコン公開

菅野美穂、高畑充希、尾野真千子がそれぞれ“石橋ユウ”という同じ名前の息子を育てる母親を演じている。

それぞれ忙しくも幸せな毎日を送る彼女たちだったが、 些細な出来事をきっかけにその生活が崩れ、
苛立ちと怒りの矛先はいつしか子どもへと向けられていく。

住む場所も家庭環境も違う【3つの石橋家】
「どこにでもいる母と子供」が、ちょっとした行き違いでとんでもない状況に陥る。
いかに家族が脆いものであるかを感じさせる。

我が家の子育てはほぼ終わったが、ひょっとしたらこうなっていてもおかしくなかったのかもしれない。

この3家族に共通なのが、父親のダメさ加減。
家事・育児に無関心、自分のことしか頭にない身勝手男。
愛人を作って、いなくなった最低男。
ボンボン育ちで、家と息子を妻に任せきりで、隣に住む実の母親の異変にも気づかない迂闊な男。

子育て経験がある人には、かなり迫ってくる。
これから、家族を作ろうとしている人にはどう映るか。
子育ては大変そうだからとしり込みするのか、この作品を教材とするのか。

3人の女優の演技競演がスゴイ・・子役たちもよかった。

最後は、希望を残したエンディング。
母ちゃん、頑張れ。
父ちゃん、しっかりしようぜ。



よろしく劇場 2本立

「海辺の家族たち」  5/28(金)〜  

高架橋をおもちゃのような列車が走り、空と海を一望できる美しい入り江沿いにあり、
かつては別荘地として賑わったが、今ではすっかり寂れたフランス・マルセイユ近郊の港町。

父が突然、倒れたので、久しぶりに兄妹3人が集まった。
家族の思い出の詰まった海辺の家をどうするのか、話し合うべきことはたくさんあった。
だが、それぞれが胸に秘めた過去にとらわれギクシャクし、家族の絆が崩れそうになる。

そんな折、漂着した3人の難民の子供たちを発見する。
言葉も通じない、どこから来たのかもわからない。
この子たちを当局に通報するのか、どうするのか。
辛い過去と厳しい現在を抱える3人の兄妹は、難民の子どもたちとの出会いにより、思わぬ変化が生じる。

大きくドラマチックな出来事が少ない静かな展開だが、
ラストシーンで、固く閉ざされていた3人の心が開かれる希望にあふれたピリオドが打たれる。


『ハチとパルマの物語』5月28日公開

1976年の旧ソ連時代、空港で飼い主を待ち続けた忠犬「パルマ」のエピソードを基に描いた日露合作映画。

安心して幅広い層で見られる作品。
ソ連時代の話なので、硬直化した官僚主義が、障壁として描かれているが、
これを親子の愛情や周囲の人々の人情で乗り越える。
子供と犬にはかなわない。

よろしく劇場「アオラレ」

5月14日「よろしく劇場」

『アオラレ』5月28日各シネコン公開予定

“あおり運転”を巡るノンストップ・アクション。

朝の交通渋滞でのトラブルをきっかけに、ラッセル・クロウ演じる男が、
美容師のレイチェル(カレン・ピストリアス)と息子をどこまでも、殺そうと追いかけてくる。

この「男」(作品で名前は出てこない)を演じるラッセル・クロウ、
いかつい顔とゴツイ太り方でプロレスラーのよう。
ターミネーターのごとく、どこまでも追いかけてくる。
そして、めっぽう強く、警官に肩を撃たれてもひるまない。
生身の人間だが、実は工場の仕事中のケガがもとで、失業。
裁判の末、妻からは離婚され、社会から疎外されバカにされていると感じているために、
社会に復讐をしてやろうという「失うものが何もない人間」。
映画の冒頭で、すでに殺人を犯しているので怖いものは何もない。
出会ってしまったレイチェルも離婚、失業、子育て、親の面倒を抱えて苦しい立場。
そのイライラをぶつけてしまったのが、この男。
程度の違いはあれ、2人とも格差社会の犠牲者ともいえる。

警察もあてにならず、自分で決着をつけなければいけなくなる。
終盤で母と息子が立ち向かうのは、シュワルツェネッガーが悪役のターミネーター第1作のよう。
「男」のやっていることは、とんでもない犯罪と狂気なのだが、
そこにいたる経緯を想像すると、同情はできないが、
こんなことをしないで済むやり方はなかったのかと、後味に若干のやりきれなさが残る。
「怒り」を生み出す社会の歪みは、なんとかならないのか。

あおり運転を巡る事件が後を絶たない。
ここまでの事件が起きないことを願うばかり。