安蒜豊三 きょうもよろしく

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よろしく劇場 2本立て 「英雄の証明」「やがて海へと届く」

4月1日  よろしく劇場  2本立て

「英雄の証明」  4月1日(金)公開  
イランのアスガー・ファルハディ監督のヒューマンサスペンス。
第74回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作

借金苦にあえぐ男がたまたま拾った金貨。
落とし主に返したささやかな善行は、 メディアに報じられ美談の英雄に祭り上げられていく。
ところがSNSを介して広まった噂をきっかけに状況は一変し、 詐欺師と呼ばれてしまう。

つじつまを合わせるためのささやかな嘘が、嘘を呼び、追い詰められていく。
イランでも日本と同じようにSNSによって丸裸にされ、大衆の好奇心や妬みの餌食になる。
消費されるネタとしてボロボロにされる主人公。
日本と司法制度や男女倫理観が大きく違っていても、そこは同じようだ。

始めから「嘘」なく生きないと。
SNSってやっぱり怖いなぁ・・・・・・・・


「やがて海へと届く」   4月1日各シネコン公開

彩瀬まるの小説を岸井ゆきの主演、浜辺美波の共演で映画化。
引っ込み思案な性格で自分をうまく出すことができない真奈(岸井ゆきの)は、
自由奔放でミステリアスなすみれ(浜辺美波)と入学した大学で出会う。
2人は親友になったが、すみれは一人旅に出たまま突然姿を消してしまう。
すみれがいなくなってから5年、真奈はすみれの不在をいまだ受け入れることができずにいる。

すみれから真奈への最後の携帯への留守電メッセージは2011年2月21日。
海を見に旅に出て、行方不明。 背景は震災。

真奈が知らないすみれは、どんな人間だったのか。
いなくなってしまった者への想いが切ない。
若い女性同士の友情、あこがれ、愛、嫉妬。
「女の友情」以上の関係。
互いに気付いていたかもしれないし、
気付いていないフリ、気づかないようにしていたのかもしれない。
育ちも性格も違う二人は、深い深いところでつながっていたのは間違いない。
心情を想像させる詩的な映像と微妙なセリフ、冒頭とエンディングのアートなアニメ。
「なぜ、どうして・・・・」
見終わってから時間が経過するほど、染みてくる作品。

よろしく劇場  「ベルファスト」

3月25日  よろしく劇場
「ベルファスト」3月25日各シネコン公開

アカデミー賞7部門ノミネート

北アイルランドのベルファストで生まれ育ったバディは
祖父母、父母と兄と友達に囲まれ、充実した毎日を過ごす9歳の少年。
街の住民はみんな知り合い、家の前の道路で遊ぶという日本の下町と同じような光景。
しかし、1969年8月15日、バディの穏やかな世界は
プロテスタント住民とカトリック住民間の暴動で悪夢へと変わってしまう。
この街にいては未来はないと、
バディと家族たちは故郷を離れるか否か(移民)の決断に迫られる。

アイルランド紛争が背景にある不幸な時代なのだが、
この家族はユーモアと強い絆で前進していく力強い人々。
魅力的な一家で、幸せを祈りたくなる。
こうありたい。

政治的、歴史的背景に詳しくなくとも、全く問題ない。

見終わって体の中から力がわいてくるような、
前に進む推進力をもらったようにパワーアップできる。
名作と呼ぶべき一本。 モノクロ。

お母さん役のカトリーナ・バルフ・・・素敵すぎる

よろしく劇場 「ぼけますから、よろしくお願いします。 ~おかえりお母さん~」

3月18日 よろしく劇場

ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~
2022年3月25日(金)より全国順次公開
©2022「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~」製作委員会


2018年ドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』の続編。
前作は認知症の母親と耳の遠い父親の暮らしを、 ひとり娘である信友直子監督が自身の視点で見つめる作品。
単館公開としては異例のロングラン、想定を上回る大ヒットとなった。

東京で映像の世界で働くひとり娘の「私」(監督・信友直子)は、
広島県呉市に暮らす90代の両親を1作目完成後も撮り続けた。
2018年。父は家事全般を取り仕切れるまでになり日々奮闘しているが、
母の認知症はさらに進行し、ついに脳梗塞を発症、入院生活が始まる。
父は手押し車で毎日1時間かけて母に面会するため足を運び、
母を励まし続け、いつか母が帰ってくるときのためにと98歳にして筋トレを始める。
一時は歩けるまでに回復した母だったが新たな脳梗塞が見つかり、 病状は深刻に。
そんな中、2020年3月に新型コロナの感染が世界的に拡大。
病院の面会すら困難な状況が訪れる。


前作を見逃したのだが、問題ない。
背景、家族の歴史が冒頭に織り込まれていてすぐに事情をのみこめる。
前作公開でお父さんは街の人気者に。
小柄でだみ声のアニメキャラのようなお父さんは、厳しい状況になっても
自らを励ますようなポジティブな言葉と鼻歌で乗り切ろうとする。
お母さんが認知症になるまえは、家事は何もしなかったのが、
なんでもこなし生活を楽しんでいるようでもある。
そして全く揺るぐことがない妻(お母さん)への愛情。

その一方で、認知症が進行し自分が失われてしまい、
周囲に迷惑をかけているのではないかというお母さんの、苦しみも描いている。
また、お母さんの胃ろう処置が結果的に延命治療になり、
かえってお母さんを苦しめてしまったのではないかという2人の葛藤も。
きれいごとでは済まないながらも、温かい家族のつながりに泣かされた。
お父さんがお茶目で粋でカッコいい。
こんなおじいさんになれれば・・・・
こんな歳のとり方、人生の終わり方、終わらせ方をしてみたいものだ。

最近、自分の死に方を考えるようになってきた。
いつかもわからないその時まで、どう生きようかも。

よろしく劇場 「林檎とポラロイド」

3月4日放送 「よろしく劇場」  
「林檎とポラロイド」  愛知 伏見ミリオン座  3/11(金)~    三重 進富座  4/30(土)~

突然記憶喪失となってしまう病気が当たり前になった世界。
ある夜バスの中で居眠りしている間に記憶を失った男が病院に搬送される。
記憶を取り戻すのではなく”新しい人生”を作る治療プログラムに参加。
仮装パーティで友だちをつくる、ホラー映画を見る、バーで女を誘う…
送られてくるカセットテープに吹き込まれた様々なミッションをこなし、
新たな経験をポラロイドに記録するのが日課の日々を送る。

記憶は失われても、自転車の漕ぎ方、泳ぎ方、ダンスなど、体が覚えていることがあるものだ。
PCみたいに記憶を上書きできたとしても、人間には変わらない何かがあるのかもしれない。
説明的なセリフもナレーションもなく、なぞなぞのようなセリフやシーンが続く。
観客の想像の入る余白をあえて作っているのか。
ひょっとしたら、記憶喪失ではなく、ツライ記憶から逃れたかったのかもとラストシーンで想像させる。

ユーモア、せつなさを漂わせる味わい深い作品。

よろしく劇場 「白い牛のバラッド」

「白い牛のバラッド」
2月18日公開 愛知 伏見ミリオン座    
4月2日(土)公開 三重 伊勢進富座本館  

愛する夫を1年前に冤罪で処刑されてしまった 未亡人ミナの苦闘を描くイラン映画。
2021年ベルリン国際映画祭他、世界各国の映画祭受賞、ノミネート

テヘランの牛乳工場で働きながら耳の聞こえない幼い娘ビタを育てるミナは、
1年前に夫のババクを殺人罪で死刑に処せられたシングルマザー。
ある日、裁判所に呼び出され、信じがたい事実を告げられる。
ババクが告訴された殺人事件で別の人物が真犯人だったというのだ。
つまり、夫バハクは無実の罪で死刑にされていたのだ。
裁判をやり直すわけではなく、賠償金が支払われるという。
しかし、納得できないミナは、担当判事への謝罪を求めるが門前払いされてしまう。
そんな時、夫の旧友と称する中年男性レザが訪ねてきた。
レザは生活の苦しい親子に助けの手を差し伸べてくれるようになる。
やがて3人は家族のように親密な関係を育んでいくが・・・

その秘密は、観客であるこちらは中盤以降知ることとなる。
レザの抱えた秘密と苦しみも痛いほど理解できだけに、
3人のほほえましい関係と、 慎み深くひかれあっていくミナとレザの姿が切ない。
なんとか、2人が結ばれて3人仲良く暮らせないのか。
そんな願いを抱いてしまった。
しかし、ついにミナは不幸な形で真実を知ってしまう。

女性の生きづらさ・シングルマザー家庭の貧困、 間違いをなかなか認めない司法。
冤罪の可能性が高い死刑囚がいつまでも放置されているケースは日本にもある。
重いテーマが背景ながら、悲恋ともとることができる。