安蒜豊三 きょうもよろしく

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映画「初恋」


よろしく劇場  「初恋」2月28日公開

三池崇史監督の最新作。

タイトルの「初恋」から甘い恋愛ものを期待してはいけない。
銃弾が飛び交い、血しぶきが舞い生首も飛ぶバイオレンス。
しかし、陰惨さは不思議と感じない。
各キャラクターの振り切れっぷりに爽快感さえ感じ、シュールでブラックなギャグは笑える。
特に恋人のやくざを殺され復讐の鬼と化したベッキーのブチ切れ方が圧巻。

もともと生きる意欲が薄いように見えたレオ(窪田正孝)が、残り少ない自分の余命を知り,
行きずりの薄幸の少女モニカ(小西桜子)を助けるために修羅場に巻き込まれる。
弱き者を放っておけず、立ち向かっていく様は、かつての任侠映画のようだ。
その守る動機が「初恋」というのか。

親の愛を知らず行く当てのない二人が身を寄せ合っていくラストは、ささやかなハッピーエンドだ。

男には、少なからず「強きをくじき、弱きを助ける」義侠心があるはずだ。
そいつを思い起こさせてくれる。

鑑賞後、ちょっとだけ肩で風を切って歩いてみた。

映画「グッドバイ」嘘から始まる人生喜劇


よろしく劇場
「グッドバイ」嘘から始まる人生喜劇  2月14日公開

太宰治の未完の遺作を、ケラリーノ・サンドロヴィッチが舞台で上演したものの映画化。

戦後の混乱から復興へ向かう東京。
闇稼業で小金を稼いでいた文芸誌編集長の田島(大泉洋)は、何人もの愛人を抱えていた。
青森に疎開させたままの妻子とまっとうに生きようと、愛人たちと別れる決心。
金にがめつく大食いの担ぎ屋・キヌ子(小池栄子)を偽の妻に仕立てて、
女たちに別れを告げに行くというドタバタ喜劇。

愛人それぞれの奇妙な事情。さまざまな偶然が重なり厄介な展開に。
また、青森にいるはずの妻に多数の愛人がいることが発覚に意外な事態に。

舞台の映画化ということもあり、セリフ回しや展開に舞台的な突飛さや大げささがあるが、
それがかえってテンポを出し、大胆に話が展開するので、いつの間にか引き込まれる。
ガサツな女を表現するための小池栄子のだみ声は、はじめは違和感があり、
この映画を最後まで見られるか心配したが、すぐに受け入れられた。

喜劇に不可欠な人情ホロリもあり、細かいことは考えずに楽しめる作品。

映画「37セカンズ」 


よろしく劇場
「37セカンズ」 2月7日(金)各シネコンで公開
「第69回ベルリン国際映画祭」2部門受賞。

アメリカで活動してきた女性監督・HIKARI初の長編映画。
ヒロインを演じたのは、オーディションで選ばれた佳山明(かやまめい)。
出産時に身体にハンデを負った23歳(当時)で演技初挑戦 。


生まれた時に、37秒息をしていなかったことで、車イス生活を送る貴田ユマ。
親友の売れっ子漫画家のゴーストライターとして、うまく利用されている。
共に暮らす過保護な母を息苦しく感じ始めたある日、
独り立ちをしたいと思う一心で、自作の漫画をアダルト出版社に持ち込むが、
女性編集長に「人生経験(つまり恋愛・性体験)が少ない作家に、いい作品は描けない」と一蹴されてしまう。

性体験するために出会い系や風俗の世界に足を踏み入れるが、うまくいかない。
研究のためにひそかに持っていたアダルトビデオや怪しげなグッズを母にみつけられる。
狼狽した母は問い詰めるが、ユマは反発。
たまたま知り合った夜の歓楽街を謳歌する障がい者クマさんや、
障がい者にサービスを提供するデリヘル嬢舞さんと介護福祉士俊哉と知り合い、世界を広げていく。

一大決心。幼いころに母と離婚した父を求めて旅へ。
そこで、自分の出生のいきさつや37秒間の意味を知る。
ユマは旅を経て成長、自分の人生をも前に進めようとする。
母もまた長く自らを縛ってきた呪縛から解放される。

お涙頂戴ものにあらず。

主人公ユマちゃんの変貌ぶりが見事。
明らかになっていく過去を受け止め、拙いながら言葉にする。
一人の女性の成長物語。
見事だ。
ヒットしてほしい1本。