安蒜豊三 きょうもよろしく

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「よろしく劇場」 「Sleep マックス・リヒターからの招待状」

4月16日 「よろしく劇場」
「Sleep マックス・リヒターからの招待状」
4月16日(金)公開  伏見ミリオン座

2018年ロサンゼルス、シドニーのオペラハウスや、アントワープの聖母大聖堂で、
そしてパリ、ベルリン、NY-世界各地の会場で開催された
真夜中に始まり、朝方に終わる、8時間以上に及ぶ、“眠り”のためのコンサート。
音楽家マックス・リヒターによる“眠り”のための楽曲「SLEEP」。
真夜中から明け方にかけて演奏され、
観客は会場に並べられたベッドに横になって眠ることも、歩き回ることも自由。
そんなイベントを体感するドキュメンタリー。  

長いこと売れない芸術家のリヒター夫妻の苦労話、
音楽の構築法やイベントの裏舞台なども興味深い。

ひとりっきりの人、パートナーと抱きあうカップル、
それぞれの寝姿が無防備でイノセント。
朝、コンサート終了後の観客の
憑き物が落ちたようなすっきりとリフレッシュした表情がうらやましい。

全編を通じて流れる音楽で、眠りに落ちないながらも(ちゃんと見ないといけないから)、
身体のチカラが抜けていくようなリラックス感を覚えた。

いかに日常生活で「眠り」を犠牲にしているのか・・・・
平日午前2時起床の生活だと、7時間ベッドにいたとしても、日中ずーっと眠いんだよ。
2年半たった今でも、慣れていない・・・・・

「よろしく劇場」  「ブルー」

「よろしく劇場」
4月9日公開 「ブルー」

松山ケンイチ/木村文乃/柄本時生/東出昌大

誰よりもボクシングを愛する瓜田(松山)は、どれだけ努力しても負け続き。
あまりの負けっぷりに後輩から見下されている。

一方、瓜田が誘って入門した後輩の小川(東出昌大)は抜群の才能で日本チャンピオン目前、
瓜田の幼馴染の千佳(木村文乃)とも結婚を控えていた。

しかし、順風満帆な小川の体には「パンチドランカー」の症状。
千佳から、小川を止めてほしいと頼まれる瓜田だが、
すべてを犠牲にしてもチャンピオンになりたいという気持ちが痛いほど理解できるゆえ、それはできない。

主演の松山ケンイチの完璧な仕上がりは、まさに“ボクサー”
負け犬的な存在なのに飄々として悲壮感がない。
ボクシングを愛している、アイデンティティであることが、その観察眼やコーチングに現れている。
夢破れ、ラストシーンの瓜田。
ボクシングのフットワークを踏むシルエットがとんでもなく美しい。

木村文乃も東出昌大もいい。

入門生・楢崎(柄本時生)は、女性にいいかっこするのが動機のヘタレだったが、
瓜田の指導の下、基本に忠実に練習を積み本気になり、成長していく姿が、希望。

登場人物すべてに感情移入できる。
派手さや、かっこいいアクションを排したボクシングシーンがリアル。
報われない努力を肯定しつつも、美化、賞賛している描き方ではないし、安直さのひとかけらもない。
突き放しているようで、ひとかどの者になれない人間への共感に満ちている。

大どんでん返しやドラマチックな展開がないからこそ伝わるものがある。

明日を生きる気持ちにさせてくれる見事な作品。
こころ折れそうなときにいかがでしょうか。

よろしく劇場 2本立て

よろしく劇場
『サンドラの小さな家』2021年4月2日(金)公開
【原 題herself】  

アイルランドを舞台にシングルマザーの貧困、家庭内暴力といった問題を背景にしつつも、
それでも強く生きる女性を描く作品。

シングルマザーのサンドラ(クレア・ダン)は、虐待をする夫のもとから2人の幼い娘と共に逃げ出したが、
公営住宅には長い順番待ち、ホテルでの仮住まいの生活から抜け出せない。
ある日、手頃な家を自分で建てようというアイデアを思いつく。
仕事仲間やその友人たちの協力を得て、一軒の小さな家が完成に近づく。
しかし、タチの悪いDV夫の妨害にあう。

決して、すべてが解決するハッピーエンドではない。
「まさか」という、DV夫の馬鹿さ加減が腹立たしい。
そして、そのDVの背景もさりげなく描かれている。
DVは連鎖するといわれるが、まさにそのケース。
サンドラが自由を得るための犠牲が痛々しく、
DVの被害者が、どうしてここまで追い詰められないといけないのかと腹が立つが、
そこから再び立ち上がる姿と、彼女を支える娘と友人たちの存在が希望を持たせてくれる。


きまじめ楽隊のぼんやり戦争
伏見ミリオン座 4/2(金)~    三重 進富座5/29(土)〜  

前原滉:橋本マナミ:矢部太郎:片桐はいり:嶋田久作:きたろう:竹中直人:.石橋蓮司

目的もわからず、どんな人々か知らない相手と毎日戦争をしている架空の町が舞台の
シュールかつユーモラスな異色作。

戦前の日本の片田舎のような、津平町。
対岸の太原町の人間は残酷で怖いと信じ切って戦っているが、
相手の素性も戦争のいきさつも目的も知らない。
余計なことは知らなくていい。
言われたことをやっていればいいという
全体主義的な社会を風刺している。

役者すべてが、直立でセリフ棒読みという異様なスタイルを
受け入れられるかどうかで作品の評価が違ってくる。
私は、笑いながらも怖さを感じた。
こんな社会にしたい人がいるのだろうなぁ。


よろしく劇場 2本立て

よろしく劇場  2本立て

『旅立つ息子へ』
2021年3月26日(金)伏見ミリオン座    6月26日(土) 伊勢進富座

息子のために人生をささげる父親と、息子の絆を、実話をもとに描いたイスラエル発の人間ドラマ。
自閉症スペクトラムの息子ウリの世話をするため、
売れっ子グラフィックデザイナーというキャリアを捨て、 田舎町で暮らしている父親アハロン。
全寮制の特別支援施設への入所が決まるが、 別れにパニックを起こす息子を目の当たりにし、
父は自分が息子を守ることを決意し、2人の逃避行がはじまる。

父親目線で描かれた“子離れ”がテーマの作品。
自閉症を抱えている息子と父親の話だが、重くツライ特別な話ではなく、
「子育て」の経験から、多くの父親が共感をおぼえるであろう普遍性がある。
エンドロールの余韻のなかで、じわじわとあふれるものがあった。
子供は、知らない間に成長するものなのだ。




『ゾッキ』  
3月26日(金)愛知県各シネコン先行公開、 4月2日全国公開  

俳優の竹中直人、山田孝之、齊藤工が3人で共同監督を務め、  
漫画家・大橋裕之の初期作品集「ゾッキA」「ゾッキB」を実写映画化したヒューマンコメディ。  
原作者・大橋の生まれ故郷である愛知県蒲郡市でロケを敢行  


石坂浩二・吉岡里帆・松田龍平・國村隼・ピエール瀧・  
竹原ピストル・倖田來未・松井玲奈・鈴木福、他かなり豪華なキャスト。  

妄想にとらわれて現実にいない友人の姉に恋焦がれる「伴くん」演じる九条ジョー(コウテイ)が危険物。  
イケナイものを見てしまったような気がする。  
街角で、伴くんに出会ってしまったらどうしよう・・・・  

バラバラなエピソードが最後に一つにまとまるのが不思議。  
シュールなタッチゆえ、面白いと感じるかは、見る人の感覚による。  
私は、ニヤニヤしたり吹き出しそうになったりした。  


「よろしく劇場」 「まともじゃないのは君も一緒」

3月19日 「よろしく劇場」  
  「まともじゃないのは君も一緒」  3月19日各シネコン公開


成田凌演じる数学一筋〈コミュニケーション能力ゼロ〉の予備校講師・大野と、
清原果耶演じる知識ばかりで〈恋愛経験ゼロ〉の女子高生・香住が繰り広げるドタバタラブコメ。


「普通」でなければいけない、はみ出してはいけないという同調圧力や強迫観念に
縛られて窮屈な今の風潮に、問題提起している。

冷静に考えれば、突飛な設定とストーリーなのだが、
この2人,成田凌と清原果耶の見事な演技に笑いが絶えず目が離せない。
小泉孝太郎演じる、胡散臭い実業家クズ男ぶりもはまっている。

幅広い層が楽しめる良質の作品。