安蒜豊三 きょうもよろしく

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「よろしく劇場」  「ブルー」

「よろしく劇場」
4月9日公開 「ブルー」

松山ケンイチ/木村文乃/柄本時生/東出昌大

誰よりもボクシングを愛する瓜田(松山)は、どれだけ努力しても負け続き。
あまりの負けっぷりに後輩から見下されている。

一方、瓜田が誘って入門した後輩の小川(東出昌大)は抜群の才能で日本チャンピオン目前、
瓜田の幼馴染の千佳(木村文乃)とも結婚を控えていた。

しかし、順風満帆な小川の体には「パンチドランカー」の症状。
千佳から、小川を止めてほしいと頼まれる瓜田だが、
すべてを犠牲にしてもチャンピオンになりたいという気持ちが痛いほど理解できるゆえ、それはできない。

主演の松山ケンイチの完璧な仕上がりは、まさに“ボクサー”
負け犬的な存在なのに飄々として悲壮感がない。
ボクシングを愛している、アイデンティティであることが、その観察眼やコーチングに現れている。
夢破れ、ラストシーンの瓜田。
ボクシングのフットワークを踏むシルエットがとんでもなく美しい。

木村文乃も東出昌大もいい。

入門生・楢崎(柄本時生)は、女性にいいかっこするのが動機のヘタレだったが、
瓜田の指導の下、基本に忠実に練習を積み本気になり、成長していく姿が、希望。

登場人物すべてに感情移入できる。
派手さや、かっこいいアクションを排したボクシングシーンがリアル。
報われない努力を肯定しつつも、美化、賞賛している描き方ではないし、安直さのひとかけらもない。
突き放しているようで、ひとかどの者になれない人間への共感に満ちている。

大どんでん返しやドラマチックな展開がないからこそ伝わるものがある。

明日を生きる気持ちにさせてくれる見事な作品。
こころ折れそうなときにいかがでしょうか。

よろしく劇場 2本立て

よろしく劇場
『サンドラの小さな家』2021年4月2日(金)公開
【原 題herself】  

アイルランドを舞台にシングルマザーの貧困、家庭内暴力といった問題を背景にしつつも、
それでも強く生きる女性を描く作品。

シングルマザーのサンドラ(クレア・ダン)は、虐待をする夫のもとから2人の幼い娘と共に逃げ出したが、
公営住宅には長い順番待ち、ホテルでの仮住まいの生活から抜け出せない。
ある日、手頃な家を自分で建てようというアイデアを思いつく。
仕事仲間やその友人たちの協力を得て、一軒の小さな家が完成に近づく。
しかし、タチの悪いDV夫の妨害にあう。

決して、すべてが解決するハッピーエンドではない。
「まさか」という、DV夫の馬鹿さ加減が腹立たしい。
そして、そのDVの背景もさりげなく描かれている。
DVは連鎖するといわれるが、まさにそのケース。
サンドラが自由を得るための犠牲が痛々しく、
DVの被害者が、どうしてここまで追い詰められないといけないのかと腹が立つが、
そこから再び立ち上がる姿と、彼女を支える娘と友人たちの存在が希望を持たせてくれる。


きまじめ楽隊のぼんやり戦争
伏見ミリオン座 4/2(金)~    三重 進富座5/29(土)〜  

前原滉:橋本マナミ:矢部太郎:片桐はいり:嶋田久作:きたろう:竹中直人:.石橋蓮司

目的もわからず、どんな人々か知らない相手と毎日戦争をしている架空の町が舞台の
シュールかつユーモラスな異色作。

戦前の日本の片田舎のような、津平町。
対岸の太原町の人間は残酷で怖いと信じ切って戦っているが、
相手の素性も戦争のいきさつも目的も知らない。
余計なことは知らなくていい。
言われたことをやっていればいいという
全体主義的な社会を風刺している。

役者すべてが、直立でセリフ棒読みという異様なスタイルを
受け入れられるかどうかで作品の評価が違ってくる。
私は、笑いながらも怖さを感じた。
こんな社会にしたい人がいるのだろうなぁ。